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2021年7月1日

[ハキダメギク]ひどい名前シリーズ〜ハキダメギク|キク科コゴメギク属|エバーグリーン

認定、かわい草「ハキダメギク」

認定、かわい草「ハキダメギク」

 

ヘクソカズラを筆頭に、ヒドイ名前を付けられたザッソウは数々あります。今回紹介するハキダメギクもそんな被害者(?)ザッソウの一つです。

本題から外れますが、筆者はそんなザッソウたちを勝手に「かわい草(かわいそう)」と呼んでいます。ママコノシリヌグイオオイヌノフグリなども「かわい草」に認定しています。

 

ハキダメギク

ハキダメギク

 

漢字を当てると「掃き溜め菊」、掃き溜めはゴミ捨て場のことです。なぜこんなヒドイ名前になったのか?  理由はシンプルで、この植物がゴミ捨て場で発見されたからです。

ハキダメギクは熱帯アメリカ原産の一年草で、日本ではじめて確認されたのが大正時代、世田谷(東京)のゴミ捨て場でした。発見・命名者は日本植物学の父、牧野富太郎博士です。牧野博士は始末の負えない植物に対して意趣返しのごとく「ワルナスビ(悪茄子)」と名付けるなど、ユニークな感性をお持ちの方です。ハキダメギクに関しては他意はないようでほっとしました。

見られる季節はおもに初夏~秋で、田んぼの畦、畑など日当たりと適度な湿り気のある場所によく生えています。そのほか道端でも見かけます。繁殖力が強く、世界中に根付いているコスモポリタンと呼ばれる植物のひとつです。

 

名前とは裏腹に可愛らしい花

名前とは裏腹に可愛らしい花

 

草丈は最大60cmくらいで、枝先に一輪ずつ径5mmほどの白い花を咲かせます。小さな花ですが、たくさん咲くので花どきにはそれなりに賑やかで目に付きやすいです。花びら(舌状花)は、まばらに5枚付くことが多く、先端は丸みのあるギザギザになり、なかなか可愛らしいので確認してみましょう。花後にできるタネ(そう果)は、つけ根に羽のような白い冠毛があります。

タネ(そう果)白い羽状の部分が冠毛

タネ(そう果)白い羽状の部分が冠毛

 

おもしろいことに牧野博士が原著者の、牧野植物図鑑の新版(新牧野日本植物圖鑑)にハキダメギクは掲載されていません。代わりに近い仲間のコゴメギクが記載されています。コゴメギクの説明文を読むと、「この図は旧版でハキダメギクとしていましたが、よく見るとコゴメギクだったので記載を改めました」(※要約)と追記されています。昔は載っていたけど今はないということです。詳しいことはわかりませんが牧野博士が最初に世田谷のゴミ捨て場で見つけたハキダメギク、実は近い仲間のコゴメギクだったのかもしれません。

 

ヤサシイエンゲイ 小林昭二)

 


 

名前とは裏腹に可愛らしい花