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2022年6月30日

[イヌマキ]古今東西 ご神木巡礼 その43(千葉編1)〜筆掛けの槇|マキ科イヌマキ属|エバーグリーン

千葉県指定天然記念物、樹齢はなんと!?

「ええぇ、また千葉ぁ」なんて聞こえそうですが、今回はテレビなどメディアでも紹介され観光客もこの木を目指してくるといわれるほどの木「筆掛けの槇」をご紹介しま~す。

 

筆掛けの槇とは……

あのいすみ鉄道で有名な千葉県いすみ市大原、実はあの源頼朝と深~い関係があるらしいのです。お寺(長福寺)のパンフレットによると、頼朝はこの寺にて書状をしたためるため、硯(すずり)と筆を所望したとされています。頼朝がこの寺で硯に墨をすらせていたとき、筆をこのマキ(イヌマキ)の枝にかけたことから、筆掛けの槇と呼ばれているとか。なぜ、筆をマキの枝にかけたのかは筆者にはわかりませんが、理由はともあれそう呼ばれているそうです。

筆掛けの槇 いったいこの木のどこに筆がかけられたのかは不明ですが。

筆掛けの槇
いったいこの木のどこに筆がかけられたのかは不明ですが。

 

源頼朝ってどんな人?

「…えっ、源頼朝知らないワケ」と編集者から突っ込みが入りそうですが…、歴史の教科書でその名を見たのは遠い昔。頼朝といえば放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉の殿の13人』で大泉洋さんが演じていましたよね。大泉洋さんが演じた頼朝は、源氏のプリンスだったが一族を平家に滅ぼされ流罪になり、伊東家で監視され長く孤独な生活を送る。で、他人には決して本心を明かさないという設定。北条義時をはじめ坂東武者から「佐殿(すけどの)」と呼ばれていたことが知られています。

これは頼朝が、平治元年(1159)の平治の乱に右兵衛権佐(うひょうえのごんのすけ)という官位に就いたことに由来するのだとか……。そして、頼朝は鎌倉幕府初代将軍!(歴史音痴の筆者は、なんでも江戸時代と思ってしまいますが、江戸ではなく鎌倉時代のお話)ということで、このマキは鎌倉時代からあったとされ、その樹齢はなんと約1350年。ということで、ここ長福寺はかなり由緒正しいお寺なのです。

 

長福寺のみどころ

ひっそりとした場所にある小さなお寺ですが、本堂の欄間はあの北斎とも関係する初代武志伊八郎信由(1751~1824)が彫ったとされる波と龍、雲と麒麟を見ることができます。また、本堂客殿の仕切りの襖は杉の板戸には、花鳥図などを見ることもできます(とにかく古いものです)。また、ここでは写経をすることもでき奉納料は1000円。本堂の拝観には維持費としての300円が必要ですが、像高101㎝のヒノキ材の薬師如来座像などがあります。そのすごさは実際に行ってぜひご覧になってくださいね。

長福寺はひっそりしたお寺

長福寺はひっそりしたお寺

足さすりの仁王さま。足の痛みを取ることができるとして知られる

足さすりの仁王さま。足の痛みを取ることができるとして知られる

寺の随所で見ることができる美しい植物が施された彫刻

 

他にもあるらしい…

ちなみにここ大原にはほかにも源頼朝に関連する『名熊の二本杉』『兜松』『大杉』などがあるそうなので、いつか訪ねてご紹介したいと思います。

 

エバーグリーン編集部オススメサイト

 

  • 『長福寺』:千葉県いすみ市下布施757

 

(日本図案家協会準会員/日本園芸文化協会会員 藤依里子)


筆掛けの槇 いったいこの木のどこに筆がかけられたのかは不明ですが。