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2022年8月9日

[イベント]イベントレポート:令和2年・3年度『園芸文化賞』表彰式に潜入|エバーグリーン

園芸文化賞とは…

園芸業界にも数々の賞がありますが、そのなかでもぜひ紹介したいと思ったのが、公益社団法人・園芸文化協会が園芸文化の普及発展と向上に人生を捧げた方々に贈る『園芸文化賞』です。その表彰式と記念講演が令和4年6月16日、東天紅上野店ルナホール(東京都台東区)にて開催されましたのでその様子をお伝えいたします。

受賞者のみなさん

受賞者のみなさん

 

受賞された方々は

昨年(令和2年)は開催が中止となったため、今年は2年度、3年度分として開催されました。令和 2 年度受賞者の方は、「さくらそう会」世話人代表の鳥居恒夫(とりいつねお)氏。受賞の理由は、長年にわたり「さくらそう会」の世話人代表をつとめ、日本固有の植物であるサクラソウ(桜草)の品種整理と保存や栽培技術研究を行った功績は顕著で、ラジオや出版物などを通じて幅広く園芸文化や植物に関する知識や話題を伝え、園芸文化の発展に貢献してきたことでした。鳥居氏のお話しから桜草の文様があることを知り驚いた筆者ですが、この文様は浮世絵のなかでも見ることができます。

ちなみに、このサクラソウですが、日本の河川敷や山野に自生するのですが、最近では自生地が激減し各地で保護の対象となっている植物のひとつです。古くから多くの品種が作られ、今でも古典植物として愛好家に栽培されています。

なお、庭先や公園などでよく目にするのは、和名ではケショウザクラ(化粧桜)、オトメザクラ(乙女桜)と呼ばれるプリムラマラコイデス(西洋サクラソウ)です。ちなみに、西洋サクラソウに比べ日本サクラソウは夏から冬は葉を枯らして休眠する性質などで比較的育てやすいとのこと。店頭などでは、山野草として販売されていることが多いようです。

サクラソウ

サクラソウ

 

令和 3 年度受賞者は…

令和 3 年度の受賞者は国際雪割草協会会長・雪割草育種家の岩渕公一(いわふちこういち)氏です。受賞理由は、雪割草育種の第一人者として知られ、多種多様な品種を作出、その他メディアを通じた普及活動を実践、雪割草を園芸種としての地位を確立させたことからです。この雪割草のなかには、オオミスミソウミスミソウなどの名で呼ばれているものもあります。講演では多くのスライド写真もあり、あらためて日本にはすばらしい植物があるんだなと思いました。

そして、もうおひと方が元あしかがフラワーパーク園長であり、現公益財団法人浜松市花みどり振興財団はままつフラワーパーク理事長の塚本こなみ(つかもとこなみ)氏です。受賞の理由は、日本初の女性樹木医。そして、あしかがフラワーパークへの藤の巨木移植を成功、植物を重要な財産として保存することへの情熱と独特の感性を活かした植物園運営を実践することにより、植物の尊さを広く伝え園芸文化の発展に貢献したとのことでした。

塚本氏の講演でいくつもの写真と共に印象に残ったのは、公園などの植栽では一種の植物だけではなく、どのように組み合わせて魅せるかが勝負。そうすることで観たい、行きたいと思わせる場所になるとのことでした。また、塚本氏が手掛ける場所はあしかがフラワーパークも、はままつフラワーパークもまるでシャンデリアのように美しいフジを愛でることができます。いずれの場所も訪れた方がため息を漏らすほどとのこと。筆者もコロナ禍が一段落したらぜひ、足を伸ばしてみたいと思いました。

雪割草

雪割草

シャンデリアのような「足利のフジ」

シャンデリアのような「足利のフジ」

会場に飾られた生け花

会場に飾られた生け花

 

公益社団法人園芸文化協会とは…

お終いに、公益社団法人園芸文化協会は世界に誇る日本の園芸文化の伝統を守りながら、イベントやセミナー、功労者表彰などを通じ、時代にあった新しい園芸文化の創出と普及啓発活動を行っています。官界、学界、関係諸団体や企業、生産者、一般の愛好家など園芸にかかわる人々を結び、広く深く花や緑の知識を高めるさまざまな活動を行っている団体です。

 

 

(藤依里子 園芸文化協会会員/グリーンアドバイザー)


受賞者のみなさん