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2017年1月20日

[うめきたガーデン]「草木花 × 再開発」〜未来の大阪を花いっぱいに|エバーグリーン

2016年10月。JR大阪駅の北側の再開発地域「うめきた2期」の7,500㎡の敷地に、「『みどり』と『イノベーション』の融合拠点」をコンセプトとした「うめきたガーデン」が期間限定でオープンしました。都心の真ん中、しかも期間限定、どのようなガーデンが展開されているのか知りたくて、年の瀬も押し迫った12月、お邪魔してきました。

JR大阪駅を降りて、ビル群の中を迷いながらようやくたどり着いた「うめきたガーデン」の入場口。こんなところに7,500㎡もの庭があるのか、いささか不安に感じていたところ、笑顔で迎えてくれた産経新聞大阪本社事業本部の板垣利治さん。「うめきたガーデン」に携わる前にも、さまざまなイベントを手がけてきたそうです。

こんなところに公園!?

こんなところに公園!?

 

グリーン・サポーターの協力に支えられたガーデン運営

会場に入ると、ハボタンやサルビア、クリスマスローズ、パンジー、ビオラなどが、花壇だけでなく、壁面だったり屋根だったり、広い敷地のあちこちに植えられています。これらの花は、秋、冬、そして春と、季節に応じて植え替えられています。

花畑の向こうにはビルが立ち並ぶ

花畑の向こうにはビルが立ち並ぶ

 

開園にあたっての植栽はもちろん、普段の花の手入れや植え替えなどの作業は、プロだけでなく、オープンにあたって募集したグリーン・サポーターさんたちの協力の下に行われているというのが、「うめきたガーデン」の大きな特徴のひとつ。編集部が訪れた日にも、グリーン・サポーターさんたちが、花がら摘みなどの手入れをされていました。

グリーン・サポーターさんの協力により美しい公園が

グリーン・サポーターさんの協力により美しい公園が

 

「関西を中心に約250人のグリーン・サポーターさんがいらっしゃいます。普段の手入れに参加されているのは、ご近所の方が多いですね。あくまでもボランティア活動ですが、造園の専門家の作業をすぐ側で見られたり、家庭でも役立つポイントを教えてもらったり、勉強になることも多いようです。わからないことは皆さん積極的に質問されていますよ」(板垣さん)

 

エリザベス女王も称賛した庭園デザイナーによるガレージガーデン

また、メインガーデナーに、世界的に有名な庭園デザイナーである石原和幸さんが就任されたことも、大きな話題となりました。英国の「チェルシーフラワーショー」で部門別金メダル8個を獲得、全出展者のなかの最高賞も受賞された石原氏は、エリザベス女王に「あなたはまるで緑の魔法使いね」と言わしめたほど。その石原氏が手がけるガーデンは、世界中の注目を集めています。

『未来の大阪が緑であふれるように』という石原氏の想いが込められた幅30メートルのメインガーデン。岩や石、池、2本の滝をしつらえた庭には、都心にいながらにして日本の四季が感じられるさまざまな草木花が植えられています。

うめきたガーデンの顔。メインガーデン

うめきたガーデンの顔。メインガーデン

 

そして、最も注目を集めているのは、「ガレージガーデン」。2016年の英国『チェルシーフラワーショー』で最高作品賞を受賞した作品を制作した職人さんたちの手によるものだといいます。

エリザベス女王も称賛! 石原和幸氏のガレージガーデン

エリザベス女王も称賛! 石原和幸氏のガレージガーデン

 

「普通に考えると、ガレージを作ればそこには緑がなくなると思われるでしょうけれど、『工夫をすればこんな風に緑を増やすことができる』ということを『ガレージガーデン』によって示したかったと石原先生はおっしゃっています。今回、大阪の真ん中に『うめきたガーデン』を作るにあたって『みどりとイノベーションの融合』というコンセプトと先生のお考えがピッタリだということもあって、ご協力をお願いしました」(板垣さん)

緑を取り入れたガレージ。すてきですね

緑を取り入れたガレージ。すてきですね

 

ビルに囲まれたロケーションで緑を楽しむ

ここでガーデンの写真を撮りながら、気づいたことがあります。どの写真を撮っても、草木花の向こうに、大阪のビル群や電車などが映り込むのです。

高層ビルとメインガーデンの対比を楽しむ

高層ビルとメインガーデンの対比を楽しむ

 

「サッカー場になるという話も一時話題になっていましたが、この場所が将来公園になるということ以外は、実際にはまだ決まっていないんです。『うめきたガーデン』には、そこに繋げていくという役割もあるのです。車や電車で行く里山の緑ではなく、ビルに囲まれたロケーションのなかで策定した緑を楽しんでいただきたいと考えています。この地域はまだ開発中ですが、開発が進んでいく様子もまた同時に大阪の方に感じていただければいいなと思っています」(板垣さん)

どの角度から植物を見てもその向こうには大都会大阪の景色が広がる

どの角度から植物を見てもその向こうには大都会大阪の景色が広がる

 

入場料1,000円以上の価値を提供するために

とはいえ、周りにはショッピングも映画も楽しめる施設がたくさんあるこの場所にあって、緑を楽しむためだけに1,000円という入場料はいささか高いのではないでしょうか。

「『うめきたガーデン』の土地の貸し出しは無償なのですが、アスファルト舗装の土地に花畑を作り、運用していくための費用は、すべて事業者の負担となります。水道や電気、花の管理や植え替えなども含めると、期間限定とはいえ、かなりの額になってしまうことを、ご理解いただきたいと思います。とはいえ、ご来場いただくかたには、1,000円のメリットを十分に感じていただけるように、イベントやワークショップなどにも力を入れています」(板垣さん)

さまざまなイベントを実施

さまざまなイベントを実施

 

実際にうめきたガーデンを訪ねるかたの多くは、花や緑が好きで、生活に余裕のある40、50代の女性だといいます。しかし、梅田という立地を考えたとき、若い世代にも興味を持って足を運んでもらえるように、プロのカメラマンによるポートレートサービスや写真教室などのイベントを企画したり、SNSを利用して情報を拡散したりするなど、さまざまな工夫をしています。

1月27日(金)〜29日(日)には、「大阪を花いっぱいに」というコンセプトで、『大・花マルシェ』を開催。「うめきたガーデン」のメインガーデナーである石原和幸氏が自ら買い付けた花苗を破格で販売するそうです。石原氏がその場で作った寄せ植えや鉢の競りも。たくさんのガーデニングファンが集まりそうですね。

また2月には石原氏の新しい庭も公開される予定。「うめきたガーデン」に新しい顔が加わります。

 

緑を工夫して増やして行くということ

ガーデニングの参考にしていく人も多いという

ガーデニングの参考にしていく人も多いという

 

私たち日本人の将来に、都市開発は避けて通ることはできません。そこに必要になってくるのが、石原和幸氏がガレージガーデンに託した『工夫をすればこんな風に緑を増やすことができる』という思いなのでしょう。「うめきたガーデン」は、その思いを提案、実現する場所でもあります。

お話を伺った産経新聞の板垣さん

お話を伺った産経新聞の板垣さん

自然のなかで緑を楽しむことは私たちの生活には欠かせませんが、ふだんの生活のなかにあってどのように緑を取り入れていくかということは、行政やデベロッパーだけではなく、私たちそれぞれが考えていかなければならない課題でもあるということを「うめきたガーデン」から学んだ気がします。

 


花畑の向こうにはビルが立ち並ぶ