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2017年11月7日

[イチョウ]古今東西 ご神木巡礼 その13 日枝神社の大イチョウ|イチョウ科イチョウ属|エバーグリーン

神社やお寺をはじめ、場所によってはシンボルツリーのひとつとして日本各地には、願いを叶えてくれる、パワーがもらえるとされているご神木と呼ばれている木が数多く存在しています。これは、運気、邪気、勇気、弱気、強気などの“気”と“木(樹)”を語呂合わせや、願いを叶える力もあるからでしょう。特に、大樹や古木には、木霊と呼ばれる精霊が宿り、不思議な力を持つともいわれています。今回はそんなご神木の中から日枝神社のご神木を紹介します。

大イチョウ

大イチョウ

 

今回紹介するのは、京都の祇園祭、大阪の天神祭と共に日本三大祭のひとつである山王祭りで有名な『赤坂山王日枝神社』のご神木です。

 

双葉葵紋

山車庫などでも見られる『赤坂山王日枝神社』神紋は双葉葵紋です。この紋は賀茂氏の紋で、賀茂神社の神紋としても知られています。ちなみにモチーフとなった植物は、立葵(タチアオイ)と黄蜀葵(トロロアオイ)ではなく、フタバアオイ(ウマノスズクサ科)。山地の林内に生える多年草のひとつです。そういえば、徳川家の有名な葵の御紋もこの植物がモチーフに図案化しています。

もちろん、この神紋からもわかるように、この日枝神社は、徳川家からは城内鎮守の社、徳川歴朝の産神、江戸市民からは江戸郷の総氏神江戸の産神として崇敬されてきた場所。文明10年に、太田道灌公により鎮護の神として川越山王社を勧請。その後、江戸城大改造の時に、城内紅葉山より江戸城外に定め、社殿を新築して遷祀。ちなみに、元山王と称する地は今の隼町国立劇場附近だそうです。

日枝神社

日枝神社

 

消失そして再建

その後、明暦3年(1657)の大火に社殿炎上。時の将軍家綱により赤坂の溜池を望む松平忠房の邸地を官収し、権現造の社殿、造営を遷祀。萬治2年御造営の社殿は、江戸初期権現造の代表的建物として国宝に指定されますが、昭和20年5月戦禍で焼失。その後、氏子崇敬者の手により昭和御造営の大事業が企画され、昭和33年6月本殿遷座祭齋行に続き、神門、廻廊、参集殿が完成。昭和33年6月現社地御鎮座三百年祭を齋行、昭和42年6月奉祝祭、そして昭和53年6月500年を祝する式年大祭。と江戸時代から続く神社のひとつです。

稲荷参道

稲荷参道

広い境内には稲荷参道も……。

境内の中には、きっと江戸時代からと思えるほど時代を感じさせる神猿像や狛犬の他、赤い鳥居も並んでいました。「きっと、ここにはたくさんのご神木があるに違いない!」と境内を隅々まで散策。ご神木探しをしてみたのですが、自力ではご神木を見つけることはできませんでした。

そこで、神社の方のご神木を伺うことに……。

実は、ここ日枝神社のご神木はあまり知られていないのか、首を傾げる方も。そして、3人目にして「あっ、ご神木ね。この神社で一番古いと言われているのは、山王男坂を下ったところにある大イチョウだよ」と教えて頂きました。さっそく、男坂を下りご神木に会いに行くことにしました。

男坂

男坂

 

見上げるほどの大イチョウ

教えていただいた場所は、イチョウのプチ群生林。その中の一番大きなイチョウがこの日枝神社のご神木とのことでしたが……。実は大きなイチョウの木ばかりで本命のご神木はどれなのかは定めることはできませんでしたが、以前伺ったある神社の方の「神社の敷地内にある木々はすべてご神木です」というお話を思い出しイチョウの木を撮影。

ただ、この大きなイチョウの木は、昭和20年の空襲の中でも生き残り、変わりゆく街を見ていたのだろうと思うと、不思議なパワーを感じずにはいられませんでした。が、このご神木巡りをスタートしてから、神社のご神木はイチョウが多いので今回はそのワケを調べてみました。

イチョウ

イチョウ

 

イチョウがご神木に多いワケは?

イチョウがなぜ神社に数多く植えられているのか? そのワケは、イチョウの木は他の木に比べて燃えにくい点にあったようです(落ち葉も燃えにくいのだそう)。さらに、イチョウを用いた建材は、木目が少なく美しく、腐敗しにくいので境内の看板などにも使うことができる利点があったからのようです。また、銀杏に、さまざまな栄養だけでなく、薬効もあり修行食として使われていたことにも理由はありそうです。

 

これから、秋も深まりイチョウが黄金色に変わる季節……。今年は寒暖の差が大きかったせいか、どこのイチョウもそろそろ色づき始めています。

 

エバーグリーン編集部オススメサイト

 

  • 『日枝神社』への行き方:地下鉄 東京メトロ 溜池山王駅/赤坂駅より徒歩3分

 

 

(写真・取材/グリーンアドバイザー・開運文様研究家 ふじえりこ)


イチョウ