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2017年11月20日

[キク]来年も小菊を楽しむために|キク科キク属|エバーグリーン

日本を代表する花のひとつであるキク

全国の植物園や遊園地・神社などで開催されている菊花展を訪れてみると、秋の青空にキクの花の香りが広がって爽やかな気分になります。

3輪の大型の花を一本の株から咲かせた三幹仕立てや、松の古木のミニチュアのような盆栽仕立てなど、多種多様なキクの仕立て方法は日本の伝統園芸の奥深さを感じさせられるものです。なかでも、着物の色や模様に見立てた小菊の人形で大河ドラマの一場面や風景を仕立てた小菊作りは圧巻ですね。キクの株がよく分枝することと花が一気に開花する植物の特性を活かした創意工夫溢れる仕立てです。

1年で古木のような趣を育て上げる盆栽作り

1年で古木のような趣を育て上げる盆栽作り

 

さて、小菊は庭先に植えておくだけで、秋に華やかさが楽しめる栽培が楽しみな植物です。一手間加えて栽培すると、次の年にはさらに多くの花を楽しむことができます。

 

キクは、もともと連作を嫌う植物です。植えっぱなしでも構わないのですが、放置しておくと草丈が伸びすぎて草姿が乱れる原因になります。キクの株元を観察すると、開花中にも根元からどんどん青い新芽がふき出すように新しく出てきているのが確認できます。

花後は、株をばっさり切り戻して地上部は新芽のみにしてしまいましょう。冬の寒さにあてても平気なキクは、地植えの株も鉢植えも思いっきり切ることがポイントです。

年を越して翌春の4月中旬には、その新芽の株からさらに新芽を摘み取りその芽を新しい土に挿し芽します。この新しい株を半年かけて栽培すると勢いの良い株として花を楽しむことができます。

地際から出てきた新芽を翌年に活かします

地際から出てきた新芽を翌年に活かします

 

販売されている小菊の鉢で真ん丸なシルエットに仕立てられたトピアリーのような株があります。形が気に入って購入された方は、その株をそのまま残しておけば翌年も同じような丸いキクのトピアリーが楽しめることを期待されるかもしれませんが、残念ながらキクは翌年に延びた枝の先に蕾を付けるため、無理な話です。同じような形に仕立てるためには、根元から新たに伸ばした株を自分の理想の形に摘芯しながら近づけていくしかないのです。

蝶々の形のトピアリー。土台をしっかり作ることで可能性が広がります。

蝶々の形のトピアリー。土台をしっかり作ることで可能性が広がります。

白い花を活かした大きな犬のトピアリー

白い花を活かした大きな犬のトピアリー

 

海外ではキクのことをラテン名のクリサンセマムから省略してマムと呼び、アレンジメントや花束にも多用します。日本ではお悔やみの花としてのイメージがまだまだ強いですが、園芸品種は寂しげなイメージを払拭してお洒落な花色や花姿のものも多いため、ぜひお好きな品種を見つけてみてくださいね。

白や黄色の花色の他にも花色が豊かなので、好みの色を見つけてください。

白や黄色の花色の他にも花色が豊かなので、好みの色を見つけてください。

 

渋谷区ふれあい植物センター 宮内元子


蝶々の形のトピアリー。土台をしっかり作ることで可能性が広がります。