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2018年2月16日

[ヒカゲツツジ] 色も香りも淡いのが魅力|ツツジ科ツツジ属|エバーグリーン

今回は、日本固有種ですがあまり馴染がないと思われる「ヒカゲツツジ」を紹介します。

ヒカゲツツジ

ヒカゲツツジ

 

関東以西から四国・九州の山地の崖や岩の上に自生しており、谷沿いのやや日当たりの悪い場所に多いことから名前に“ヒカゲ”が付いたとされています。別名は、サワテラシといいます。

崖や岩に自生するヒカゲツツジ

崖や岩に自生するヒカゲツツジ

 

ツツジ科ツツジ属の高さ1~2m常緑低木で、4月中旬〜5月中旬頃に淡黄色の花を咲かせますが、あまり目立たないので気付かずに見過ごすことが多いようです。

淡く黄色く目立たない花

淡く黄色く目立たない花

 

写真のように1個の花芽から2~4個が開きます。花柄は1~1.5mm と短く、萼(がく)は皿形で5つに浅く裂けています。花冠は上側上面に斑点があり、広い漏斗(ろうと)状で径は4〜5cm程度。

長い花柱が特徴の花

長い花柱が特徴の花

 

雄蕊(ゆうずい・おしべのこと)は10本と多く、その花柱が長さ2.5〜3.5cmあることも特徴です。

葉っぱは互生(ごせい)し、長さ3〜8cm、幅0.8〜2cmの長楕円形で葉先は尖っており先端には腺状の突起があります。付け根部は鋭利状又は円形状の両方あり、葉の両面には鱗状の毛があり、特に裏面は密集しています。葉っぱそのものは革質でやや固く、2~4mmの柄を付けます。

果実は筒形(径が2.5〜3mm、長さ10〜13mm)で、鱗状の毛がやや密に生えていますが、気付く人はほとんどいません。

 

西沢渓谷ではついつい滝やセセラギに目を奪われがちですが、森全体の香り、空気の流れ、揺らぎなどが五感を刺激してくれます。

ツツジ科はフィトンチッド(香り成分)が少ないのでヒカゲツツジを香りで見つけるのは難しいでしょう。しかし、最近園芸店でも見かけるようにったヒカゲツツジですが、大自然のなかで見つけられたときの感動はぜひ味わっていただきたいと思います。

花を愛でるほかに、葉っぱに着目すると新しい発見ができるかも知れません。葉っぱの表裏の鱗状の毛は両面の手触りだけでなく、天眼鏡(拡大鏡)などで観察することをお勧めします。この鱗状の毛は断熱効果があり、落葉せずに越冬できるのです。

 

西沢渓谷は国立公園なので樹木野草の採取はできませんが、このヒカゲツツジは歩く道の左右の斜面や見上げた直ぐ近くに有りますので、間近で観察可能です。ただし、斜面がせり出して道幅の狭い所が多いので、ほかに散策しているお客さんへの配慮が必要です。

ヒカゲツツジを見付けたら葉っぱの感触をぜひ試してみてください。いつの間にかリラックスしている自分に気付くかも知れません。

 

山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))


長い花柱が特徴の花