3/15をもってサービスを停止いたします 最後はアマドコロnew

2018年4月28日

[トチノキ]ヨーロッパの街路樹で有名な「マロニエ」の仲間、そして実でお餅も作れます|ムクロジ科トチノキ属|エバーグリーン

今回は高さが20〜35メートルになる落葉高木、「トチノキ」を紹介します。

新ねとり大橋のトチノキ

新ねとり大橋のトチノキ

 

トチノキは主に低山帯の深山の、渓流添いの肥沃地に生えます。北海道札幌市の南部から本州・四国・九州に分布します。バルカン半島に自生し、ヨ-ロッパ各地の街路樹で見かけるセイヨウトチノキを、フランス語で「マロニエ」と言います。

新しい枝が伸びたトチノキ

新しい枝が伸びたトチノキ

 

上の写真は、新しい枝が伸びその先の芽が開き始めたものです。

  • ムクロジ科トチノキ属
  • 樹皮は黒褐色をしており大きな波形の模様があって、大きく割れて剥げ落ちます。
  • 枝は灰褐色で環状の芽鱗痕(がりんこん)と倒卵形の葉柄痕(ようへいこん)が明確に付いており、5〜10cmくらいの成長した枝の先に、3対の葉が付きます。
  • 頂芽(ちょうが)は長さが5〜6cmになり、混芽なので中にはふつう3対の葉だけのものと頂生する花序(かじょ)を含んだものが有ります。
  • 葉は対生し、5〜25cmの柄を持った掌状複葉(しょうじょうふくよう)で 5〜7個(まれに9個)の倒卵状長楕円形も小葉からなり、中央のものが最大で長さ13〜30cm、幅4.5〜12cmです。
  • 中央部より先の方の幅が最も広く、葉先が鋭く尖っており、基部は長いくさび形に細くなっています。
  • 表面は無毛で、裏面のほぼ平行に並んだ20〜30対の側脈の腋に毛叢(もうそう)があります。この葉は、秋になると黄色一色に黄葉しますのでかなり目立ちます。
トチノキの葉と花

トチノキの葉と花

 

5〜6月に花が咲きますが、下の写真のように長さ15~25cm/直径5~10cmの円錐形の花序を付けます。花柄は長さが3〜5cmです。花そのものは径が約1.5cmで、雄性又は両性、横向きに付きます。萼裂片(がくれつへん)は長さの違うものが5個で、花弁は4個でこれらも大きさは不揃いです。

花弁の色は白で、基部には淡紅色の大きな斑紋を付けています。花がピンクに見えるのはこの斑紋のせいです。よく見ると、花弁の中央部より先は反り返っています。

雄蕊(おしべ)は7個で長さ1.5〜2cmあり、花弁よりも長く先は上向きに曲がっています。

トチノキの花

トチノキの花

実は朔果(さくか)で、9〜10月に熟します。倒卵円形の径は3.5〜5cmほど、全面に小さな瘤状(こぶじょう)の突起が付いています。種子は1〜2個だけ赤褐色に成熟します。これで「とち餅」を造ります。

 

トチノキには30mを越えるものもあるので、里山などでは間近で花を見ることは難しいですが、ここ西沢渓谷では渓谷添いの大木がロード近くに枝を伸ばし、花がちょうど目の高さの位置になる箇所がいくつかありますので、目の当たりにすることができます。

花からは甘い香りがしますが、花には蜜が多く含まれているのでミツバチたちも寄ってきます。ミツバチの邪魔にならないよう気をつけましょう。

トチノキの冬芽(とうが)は、灰汁の強い樹液に覆われていますので、触るとネバネバします。これがこの樹の越冬の知恵の一つのようです。また、この樹液には独特の香りがあります。人それぞれに好みがあるのであえて嗅ぐことをオススメはしませんが、私は嫌いではありません。

 

トチノキは、新緑時や黄葉時にその葉がもたらす木洩れ日、葉っぱの揺れる音など、1年を通じて森林セラピーに貢献してくれる樹木のひとつ。ほかにも樹肌、新芽、葉、花、実、冬芽など、五感を開くためのメニュ-がいろいろと組めるので重宝しています。

この樹のかたわらに少し時間をかけてたたずんでいるだけで、知らず知らずに癒されていることでしょう!

 

山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))

 


トチノキの花