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2018年8月3日

[コエビソウ]ゆかいなコエビソウ|キツネノマゴ科キツネノマゴ属|エバーグリーン

コエビソウ全体像

コエビソウ全体像

 

○○に似ている植物

植物の呼び名にはおもしろいものがたくさんあります。「ママコノシリヌグイ」や「ウナギツカミ」など、なぜそんな名前がついたのか由来を調べるのも楽しいものです。

呼び名の由来が『花や株姿が○○に似ているから』という植物があります。たとえばキンギョソウは花、ノコギリソウは葉の形状がそれぞれ金魚、ノコギリに似ているから付けられた名前です。

コエビソウをアップで

コエビソウをアップで

 

コエビソウも、花姿がエビ(海老)に似ているから付いた名前です。受け取り方は人によって違いますが、筆者はこの名前と実際の姿を見たとき「確かにエビだ!」と、強烈なインパクトを受けました。それがきっかけでコエビソウにたいそう興味を抱き、育てるようになって現在に至ります。

今回は『コエビソウの花がなぜエビのように見えるのか?』『花はどんな構造になっているのか?』を実際の花を分解して見ていきます。そうすることで、いろいろなパーツが巧妙に組み合わさっていることがわかっていただけると思います。

園芸での扱いやコエビソウに関して個人的に思うことも少し述べさせていただきたいと思います。

 

花のつくり

花のつくり

花のつくり

 

では、収穫したエビ?(笑)をバラしてみましょう。上の写真をご覧ください。

「a」が花全体、「b」は咲いている状態の花、「c」が咲き終わった花です。

これを見ると、たくさんの花が重なるように集まって花穂を作っていることがわかります(a)。続いてbに注目してください。うっすらと赤い花びらのような部分は(ほう)と呼ばれる葉が変形したものです。花の本体は苞から飛び出ている白い筒状の部分です。やがて花の本体は枯れますが、苞は残ってさらに赤く色づきます(c)。

以上をまとめると、花は穂状に集まって咲き、咲き終わったあとも苞が残って赤く色づくのでエビのように見える、ということになります。

花をさらに分けた状態

花をさらに分けた状態

 

咲いている状態の花(b)をさらに分解したのが上の写真です。白い糸のようなものはおそらく雌しべでしょう。花本体の内側には雄しべが見えます。これを見ると、1コの花が3つの苞に包まれていることがわかります。

苞の間から顔を出す花

苞の間から顔を出す花

花を上下に裂いたもの 内側に雄しべが見られます

花を上下に裂いたもの 内側に雄しべが見られます

 

花本体は筒状で先端が上下(唇弁状・しんべんじょう)に開きます。下方の花びら(下唇弁)には赤い斑点が2列に行儀よく並びます。

 

園芸での扱い

苞が黄色くなる品種

苞が黄色くなる品種

 

園芸では熱帯花木や観葉植物として扱いますが、耐寒性は比較的あるほうです。著者の庭(京都府南西部、地植え)では冬に落葉するものの、春になると枝の節々から芽を吹いて元気に生長し、花もたくさん咲いてくれます。春~秋の間に枝が伸びすぎたら、適宜切り戻すとよいです。

苞が赤くなる品種の他ほか、黄色くなる品種もあります。こちらはエビというよりバナナみたいです。いつか黄色の品種も入手して、赤い品種のとなりに植えたいと思っています。

 

さいごに

似ていませんね^^;

似ていませんね^^;

 

以前から下唇弁の模様がお寿司のエビに似ているなと思っていました。花の斑点を見るたびに「エビの中にエビ(お寿司)がいる」と脳内でお寿司をイメージしていました。

今回この記事を書くにあたり、寿司の盛り合わせを買ってきて見比べてみましたが、そんなに似ていませんね。

 

植物の楽しみ方はいろいろです。こういう草花遊びも、楽しみ方の1つとしてありじゃないでしょうか。

 

ヤサシイエンゲイ 小林昭二)

 

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