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2018年8月29日

[カニコウモリ]カニなの、コウモリなの? いったいどっち?|キク科コウモリソウ属|エバーグリーン

今回は奇しくも二つの動物の名前を持つ「カニコウモリ」を紹介します。いったいなんでこの異なる二つの動物名がついたのでしょう……。

キク科コウモリソウ属の多年草で、亜高山帯の針葉樹林内で見られます。しばしば群生し、四国と近畿地方以北に分布します。茎の高さは50㎝から、高いもので1m程度になります。

あっ! 葉っぱがカニのようにもコウモリのようにも見える

あっ! 葉っぱがカニのようにもコウモリのようにも見える

あっ! 葉っぱがカニのようにもコウモリのようにも見える

あっ! 葉っぱがカニのようにもコウモリのようにも見える

 

葉はふつうまばらに3枚付き、翼のない長い柄が付いています。葉身は長さ6~10cm、幅は10~20cmあり、その名の通り「カニの甲羅」もしくは「コウモリが翼を広げた様子」のような形をしています。縁には不揃いの切れ込みがあって、先端は短く尖っています。

筒状に咲いた可憐な花

筒状に咲いた可憐な花

 

花の時期は8~9月頃。写真のように茎の先に細い円錐花序を作り、白色の頭花を付けます。花序全体を包む総苞は狭い筒形をしていて、長さは8~9mmほど。総苞片は3個で、狭くて長くて楕円形をしています。頭花は3~5個の筒状の花で構成され、先は5つに裂けて反り返っています。

「カニコウモリ」はキク科ですが、見た目にはキクとは似ても似つかないように感じます。花自体は極めて小さいので天眼鏡などで拡大して見てください。そうするとキクの花に似ていることがわかりますよ。

カニコウモリ全体像

カニコウモリ全体像

 

その葉っぱのせいで「カニコウモリ」などというちょっとグロい名前の草花ですが、その名に反して花の時期は淡い香りがします。さらに一つ一つが小さくて可憐な花を咲かせます。筒状のカタチも珍しいので、じっくりと観察するのがおススメですよ。ついでに、茎や葉の表裏の手触りも試してみましょう!

 

西沢渓谷コ-ス沿いにはまとまった針葉樹林帯ははないのですが、コ-ス上部の崖の上などにある針葉樹林から転がる(或いは流れ)落ちたタネがこのコ-スで生息したものと思われます。ほかにもコ-スのあちらこちらでいろいろな木々や草花の繁殖の様子が窺えますので、渓谷の生命力・パワ-の凄さを感じることができます。

 

山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))


カニコウモリ全体像