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2020年1月8日

[ロゼット]ロゼットの観察|エバーグリーン

いろいろなロゼット

いろいろなロゼット

 

冬、花や植物の緑がめっきり少なくなり、園芸もオフシーズン。晴れた日は澄んだ青空が美しいですが、全体的に灰色基調で色が少なくなりがちな季節。

夏に元気にフェンスを覆っていたヘクソカズラヤブカラシ、黄金色の花穂を風に揺らしていたセイタカアワダチソウなど強健なザッソウも茎葉が茶色く枯れ、何となく生命力も乏しく感じます。
冬は植物の生育にあまり適さない季節です。さっさとタネを結んで冬前に枯れてしまう一年草もありますが、多くの草木は春に向けていろんな姿で身を守ります。今回紹介する『ロゼット』も、植物がとる『身を守る』姿のひとつです。

ではロゼットとはどんな姿なのでしょうか? 簡単にいえば「地面を張り付くように広がる」草姿のことです。茎が立ち上がらず、葉を地際から放射状に広げます。まるで地面に張り付いている様です。ロゼットはバラの花という意味で、その草姿に由来します。

オニタビラコのロゼット

オニタビラコのロゼット

 

ではなぜ、そのような草姿になるのでしょう?

たとえば一部の越年草(秋に発芽して冬を越し、花を咲かせてタネを作り、その後枯れる草花)や多年草は、冬の環境(寒さ、乾燥、風雪、凍結など)から身を守るためロゼットになります。そして生育に適した季節が訪れれば(気温の上昇など)茎をぐんと伸ばして花を咲かせます。身近なものにヒメジョオンハルジオンがあります。

道端の縁石沿いできゅうくつそうなロゼット(タンポポの類い)

道端の縁石沿いできゅうくつそうなロゼット(タンポポの類い)

 

また、タンポポオオバコのように季節に関係なく、基本の草姿がロゼットの植物もあります。これは人為的な影響から身を守るためだと考えられます。踏みつけられても茎が立ち上がっていなければ折れることもないです。また除草のためにやってきた刈払機の凶刃も地際まで届かず、リンボーダンスのごとくギリギリすり抜けられるかもしれません。

短く刈り払われた土手に生えるヘラオオバコ、刈払機の刃も地表までは届きにくい

短く刈り払われた土手に生えるヘラオオバコ、刈払機の刃も地表までは届きにくい

 

冬の環境や人為的な影響から身を守ること以外に、もうひとつ大きなポイントがあります。それはできるだけおひさまの光を無駄なく受け取るためです。

それを踏まえてロゼットを見てみましょう。葉っぱ同士があまり重ならずに行儀よく並んでキレイな「面」をつくっています。葉が重なってしまうと、下になった葉は上の葉に邪魔されて、じゅうぶんおひさまの光を浴びることができません。特に冬は葉を落とす樹木も多いので、太陽光の恩恵を受け取る確率は高いです。身を守りつつ、生長に不可欠な光も受け取る、たいしたものです。

筆者のお気に入りはキュウリグサのロゼットです。葉柄(葉っぱの軸部分)に長短があり、葉っぱ同士が重ならないようになっています。

キュウリグサのロゼット

キュウリグサのロゼット

 

冬はロゼット姿の植物も多く、草丈の低い雑草もあまり茂っていないので観察にはもってこいの季節です。植物のしたたかさを思いつつ、ロゼットを観察するのもまた一興です。

ヤサシイエンゲイ 小林昭二)

 


 

いろいろなロゼット