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2023年1月4日

[イベント]イベントレポート:世田谷のボロ市は、植木市だった!? からの代官屋敷のタブの木|エバーグリーン

知らないということは

実は都内で生活して約30年以上も経つのに、なかなかタイミングが合わず今回初めて訪ねてみた世田谷のボロ市。「ボロ」という言葉からその名のとおり古着市だとばかり思い込んでいたら、な、なんと植木市の光景が!! というワケで今回はそのボロ市をレポートします。なお、次回の開催は1月15、16日です。

とにかくすごい人出です

とにかくすごい人出です

 

ボロ市ってなんだ!?

世田谷のボロ市。都内在住のかたの中には「聞いたことがある」という人も多いはず。それもそのはず、一応「東京都指定無形民俗文化財」になっています。この無形民俗化財とは、“地域社会で広く行なわれてきている衣食住、生業、信仰、年中行事等、生活上の風習や慣わし”、日常生活を支えてきた民俗技術のことなのだとか。ちなみに東京都指定無形民俗文化財は、世田谷のボロ市を含む48件あるようです。筆者は戦後の名残り「闇市」を継承したものだと勝手に思い込んでいたのですが、なんと450年前からある! というので驚きました(すみません、歴史に疎くて)。

そして、その歴史を世田谷区のホームページなどからより紐解くと、始まりは安土桃山時代。当時、関東地方を支配していた小田原城主の北条氏政(うじまさ)が、世田谷城主吉良氏朝(うじあさ)の城下町であった世田谷新宿に天正6年(1578年)、楽市をに開催したことにあります。楽市とは、市場税を一切免除、自由な行商販売を認めるというもの。毎月一と六のつく日(月に6日)に開かれていたので、六斎市(ろくさいいち)とも呼ばれました。

この市により地方の物資の交流が盛んになることで江戸と南関東を結ぶ場所として繁栄しました。しかし、北条氏は豊臣秀吉に滅ぼされ、徳川家康が江戸に幕府を開き世田谷城が廃止されたことでこの楽市も廃止となってしまいましたが、その伝統は残り、年に1回、年の暮れに開かれる歳の市(市町)になり、明治に新暦となったことで正月15日に開かれたりもしていたのですが、いつ頃からか年末(12月)の15日・16日、そして新年の15日・16日の両日開かれるようになったとされています。というワケで、ボロ市では古着だけではなくいろいろなものが売られているのです。

ボロ市には古い着物などあり しかし1枚500円以上。ちょっとしたものは強気の価格設定です!

ボロ市には古い着物などあり しかし1枚500円以上。ちょっとしたものは強気の価格設定です!

いろいろなものがてんこ盛り

いろいろなものがてんこ盛り

 

植木なども数多く売られています

「ボロ市がなぜ植物と関係する?」と思われるかたも多いことと思います。が、それはもともとは楽市だったわけで、あらゆるものが売られていたからです。並ぶ店舗の中には植木関係も数多く、多肉植物をはじめブナの苗というあまり目にしないものをはじめ、神社の境内ではお正月に備えてか松竹梅の鉢植えなども売られていました。

そして、なにより園芸を楽しむ人にオススメしたいのが、手のひらサイズの鉢。驚くべき安さでした。また、神社の境内は植木や植物がずらりと並ぶちょっとした植木市状態だったことを報告しておきます。そのほか各地からの名産品、物産品なども数多くあり、新鮮な野菜を購入することもできそうです。

神社の境内はミニ植木市

神社の境内はミニ植木市

イイギリ(飯桐)も販売 ヤナギ科。果実がナンテンに似るためナンテンギリ(南天桐)とも呼ばれます。実は食べることもできるらしい!

イイギリ(飯桐)も販売 ヤナギ科。果実がナンテンに似るためナンテンギリ(南天桐)とも呼ばれます。実は食べることもできるらしい!

松竹梅の鉢植え 銀座などに比べるとかなり安いかも。

松竹梅の鉢植え 銀座などに比べるとかなり安いかも。

鉢 値段に注目!(※2022年12月15日撮影)

鉢 値段に注目!(※2022年12月15日撮影)

春蘭 ラン展に比べると安いような

春蘭 ラン展に比べると安いような

ブナの苗 あまり見かけないような気がしますが。

ブナの苗 あまり見かけないような気がしますが。

多肉植物の苗もありました

多肉植物の苗もありました

珍しいワラボッチ 庭先に飾ると純和風になるかも。

珍しいワラボッチ 庭先に飾ると純和風になるかも。

 

せっかくだから国指定重要文化財「代官屋敷」なども

ボロ市をみながら目についたのが代官屋敷。この代官屋敷は江戸時代中期以来、彦根藩世田谷領二十か村の代官を世襲した大場家の役宅で、大場代官屋敷とも呼ばれ大名領の代官屋敷としては都内唯一のもの。昭和27年11月3日「都史跡」に指定、その後昭和53年1月21日、大場家住宅主屋及び表門の二棟が住宅建造物としては都内で初の「国指定重要文化財」に。そしてこの代官屋敷には巨木と言ってよいほど立派なタブの木を見ることができます。

国指定重要文化財「代官屋敷」

国指定重要文化財「代官屋敷」

タブノキ。巨木です

タブノキ。巨木です

 

5年に一度、代官行列も

このボロ市では5年に一度代官行列も行われています。数多くの露店が並び筆者が行った12月15日もかなり多くの人で賑わっていました。お出かけになる際はインフルエンザ、コロナの感染対策もお忘れなく。帰宅後は手洗い、うがいを!また、心配な方は早めの対処として予防のために風邪薬などを服用するのもいいでしょう。

ボロ市人気の代官餅は長蛇の人。並ぶ覚悟で

ボロ市人気の代官餅は長蛇の人。並ぶ覚悟で

 

次回は1月15日と16日。もよりの駅は世田谷線の世田谷駅か上町駅ですが、三軒茶屋を経由するなら駅員さんに伺ったところ上町で下車し、世田谷に歩くのがよいそうです。また、世田谷線ではおとな340円、こども170円でフリー切符も販売されていますので、上手に使って散策するのもいいかもしれませんね。

 

(グリーンアドバイザー ふじえりこ)


神社の境内はミニ植木市