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2023年7月21日

[ミヤママンネングサ]厳しい山岳環境でたくましく生き延びる|ベンケイソウ科マンネングサ属|エバーグリーン

亜高山帯~高山帯の水気の少ないところで力強く生息する「ミヤママンネングサ」を紹介します。ベンケイソウ科マンネングサ属の多年草で、本州の中部地方から近畿地方にかけて分布します。山梨県内では南アルプスや八ヶ岳を含めた山々の2000mより上の岩場や砂礫地などで見ることができます。漢字では“深山万年草”と書く日本特有の野草です。

まだ花と葉の見分けがつき難い(7月中旬)

まだ花と葉の見分けがつき難い(7月中旬)

 

ミヤママンネングサは山地から海岸にかけての岩上や石垣などに生える「メノマンネングサ」によく似ていますが、それをよりいっそう小型にしたイメージです。茎は岩の間を這うので見えないことが多いです。地上に出る枝は花を付けて3〜10cmほどになり、上の方で直立または斜上します。02の写真では枝の色が紫を帯びているのがわかりますが、有花枝の特徴になります。一方、花を付けない枝は1〜3cmと低く、03の写真のように地上付近に濃い緑色の葉が群がるように見えます(無花枝の特徴です)。

有花枝の葉は写真02のように疎らに互生します。無花枝の葉は小さな円柱状で、長さ5〜12mm、幅0.8〜2mmと極めて小型です。花期はほかのマンネングサ属と違い、7月中旬~8月上旬で枝の頂部に10〜20個が集散状につきます。ベンケイソウ科特有の星形をしており、直径0.8〜1cmの鮮やかな黄色です。

花下の薄緑色の葉も見える(7月下旬)

花下の薄緑色の葉も見える(7月下旬)

濃い緑色の無花枝の葉がクッキリ(8月上旬)

濃い緑色の無花枝の葉がクッキリ(8月上旬)

 

写真は3枚とも八ヶ岳連峰南部のある登山道で撮ったものですが、いずれもほかの草が生えないような水気の少ない場所です。急斜面の岩場道や足元の悪いザレ場道などに多く生息している印象が強いです。

キツイ思いをしながら歩いているときに、このミヤママンネングサが励ましてくれます。厳しい環境でも力強く生きる可憐な花に出合うと、『小さく可憐な花がこのような所でもたくましく生きている! 自分も頑張らなくちゃ!』と思わせてくれて背中を押してくれるのです。

 

山梨市森林セラピー推進協議会 森林セラピスト / 四十物治夫(あいものはるお))


 

花下の薄緑色の葉も見える(7月下旬)