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2017年3月23日

[オーガニックガーデン]紫竹ガーデンのスゴい! 隠れポイント|エバーグリーン

「オーガニックガーデンにようこそ」第3回。

私が丁稚奉公をしていた北海道の紫竹ガーデン初回にも書かせていただいたように、「びっくり!」だったのは、花々がとても大きく、美しく、そして丈夫に育つというひとつの“事実”でした。そのうえ、おもしろいことがもうひとつ。

オーガニックなバラのベッドでお昼寝中?のアマガエル@島根県邑南町「香木の森公園」

オーガニックなバラのベッドでお昼寝中?のアマガエル@島根県邑南町「香木の森公園

 

水やりと土壌生物

ここでは、水やりを一度も!していなかったのです。
その理由、第2回をお読みくださった皆さんにはお気づきいただけますよね。ミミズなど土壌生物だらけの土は、時たま降る雨をその中にぐっと保ち、表面以外、カラッカラに乾ききることがなかったからです。

実際、ガーデン内で水をまくのは、花壇に「一年草」を植えつけた直後だけ(あちこちに置かれているコンテナとビニールハウス内は別ですが)。それが世間のガーデンにとって、どんなに奇跡的なことだったか。それを知ったのは、紫竹ガーデンを辞めてからのことでした。特に夏。どこの観光ガーデンも公園も、潅水という名の重労働に追われるのですから。

雪解け直後。早春のクロッカス。

雪解け直後。早春のクロッカス@帯広「紫竹ガーデン

 

土壌生物のいない土は、表面が硬く締まって保水性も低いものです。なので、雨が降っても水は地表をさっと舐め、中に染み込むことなく低地(川)に流れていってしまいます。土の乾きも早いので、わざわざ水をまかねばなりません。大事な水資源を汲み上げ、お金を出して潅水装置をつけ、人件費をかけて、です。

他方、そういう土は一旦水を吸い込むと排水性が悪く、いつまでたってもドロドロ。水分のコントロールは至難になります。そして、このような土の辿るスパイラルはこうです。

化学肥料を使う→土壌生物が減り、一方、根が張らなくなる→植物が栄養素を吸い込む力が落ちる→ひょろひょろ育ち、抵抗力、免疫力が落ちる→病害虫が発生→化学農薬を使う→土中にしみた農薬で土壌生物が減る→育ちが悪くなり、また化学肥料を使う、と。

フキノトウもあちこちに。

フキノトウもあちこちに@帯広「紫竹ガーデン

 

水やりは農業の命

さて、「農業とは、一も二も水やり」。これはベテラン農家さんがよくおっしゃられる言葉です。天気や植えた作物や土の状態をよく見て、水のコントロールをすることが収量アップの鍵、という意味です。水は光合成の大事な原料です。その水が適度になければ成長も開花も、もちろん実りも望めません。だからこそ、オーガニックガーデニングでは、この土作りに全力を注ぐのです。土壌生物がちゃんと機能してくれている土は、人手やコストをかけずとも適度な保水性・排水性で植物をすこやかに育むからです。

 

バラとアマガエルと

もちろん私は化学肥料を使い、化学農薬を撒くことを全否定するつもりはありません。そうすることでしか果たせない目的も、世の中にはあるからです。100年ほど前に窒素肥料が発明されたことで、以来多くの人々が飢えから解放されています。それらは紛れもない事実だからです。

大地は、あっという間に芽吹きとチューリップの花でいっぱい。

大地は、あっという間に芽吹きとチューリップの花でいっぱい@帯広「紫竹ガーデン

 

ですが、もしできるなら。できうる限り自分は地球の大きな循環の中で花と生きたい。そう思っています。ウジャウジャのミミズや、目にも見えないかわいい菌たちと一緒に。
文頭に掲載したバラとアマガエルの写真は、私が今仕事をさせていただいている公園で撮影したものです。無化学農薬で育てているバラだからこそ、アマガエルも安心してのんびりしているような……。こんな微笑ましいシーンによく出くわすのも、オーガニックガーデニングならではだと感じています。この広い世界は、思いのほか美しいつながりの中にあるのです。

 

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(オーガニックガーデナー 花房美香)